工藤の手が良太を引き寄せる。
「ふえ……んあっ…!」
ふさがれた唇から生暖かい液体が流れ込む。
喘ぐように思わず飲み込むが、喉が熱い。
その口付けにも良太はまた焼けそうになる。
すっかり工藤の意のままにあしらわれたにもかかわらず、いつか客を相手にした時のような嫌悪感もない。
どころか当の工藤に必死にすがりついていた。
みだりがましく、これが自分だとは思えない喘ぎが口を吐き、息も吐けぬような情交に良太はひどく翻弄されてしまった。
恋人同士ならきっとロマンティックなシチュエーションだろうけど。
勝手に考えてまた真っ赤になる。
工藤は大人過ぎ、自分が子供過ぎることがすっかり暴かれてしまったというのに。
平造は、二人が何をしにきたのかわかっているのだろう。きっと以前にもこうして工藤は誰かをここにこうして連れてきたに違いない。
そう、あの時の美人とか。
ずっとあの美人のことを工藤に聞きそびれている。
工藤はちょっと面白がっただけなのだろう。
でなければ、こんな痩せこけた、元体育会系の、ごく普通のどこにでもいそうな男など相手にするわけがない。
だって、工藤にはあんな超美人の恋人がいるんだから。
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