お前の夢で眠ろうか 35

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 良太の懸命な説得にやっとのことで奈々の父親から承諾を得られたのは週明けだった。
「講英社の『mimiy』と小文社の週間『TV』に、枠あけろって言っとけ」
 まだマネージャーが決まっていないので、その分良太に仕事が上積みされることになる。
「あ、デスク、青山プロダクション広瀬です。え、グラビアもらえますか? わかりました、カメラマンとスタジオはこちらで手配します。いつも急にご無理申し上げて…」
 横暴なる工藤語を丁寧語に約してアポをとり、テレビ局や出版社に奈々を紹介してまわる。
「青山プロダクション広瀬です。お世話になっております。はい、ありがとうございます。では明日お伺い致します」
 何とか工藤の吹っかける無理難題をこなしていく。
「社長、MTVの『ランチ・タイム・スクエア』、来週アスカさん出演の時に、奈々ちゃん、ちょこっと一緒に顔出させてもらえそうです」
 やがて奈々のマネージャーも決まった。
 採用された谷川宏典という男は何と元刑事だ。
 工藤が中山組組長の甥とわかっていて、面接に来たらしい。
 どうやら妻子に見放されたみたいよ、とさっそく鈴木さんが良太にご注進に及ぶ。
 やっぱ、何かないと入ってこないんだな、うちの会社って。
「妹が一緒になった相手が元組員で、お陰で刑事も辞めなくちゃならなくてね。あんなクズどものお陰で、こっちはいい迷惑さ」
 谷川が思ったより要領よく仕事を覚えてくれたことは助かったが、何だか嫌な言い方だ。
 工藤を見る時の谷川の視線が挑戦的なのも、良太は気になった。
「マル暴でヤクザを取り締まってた俺が、今度はやつらの金でメシを食うことになるとはな」
「社長は確かに中山組組長の甥だけど、うちの会社は組とは何の関係もありませんよ」
 良太はムキになって反論する。

 


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