お前の夢で眠ろうか 36

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「ふん、そんなことわかるもんか」
 だがそんな谷川も、奈々にはいつも優しい目を向けている。
 二十一世紀の美少女三人組のひとりというキャッチコピーにのっかった前評判はなかなかの手応えだ。
 ネットやSNSを利用した広報戦略が功を奏してたちまち熱心なファンが激増した奈々にとっては、元刑事ならボディガードも任せられるというものだ。
 仕事は充実していた。問題はプライベートにあった。
 良太の思惑に反して工藤は別荘の夜以来、何かにつけて良太にちょっかいをかけてくる。
 明らかにからかい半分なのはわかっていても、工藤に抱き込まれたりすると普段の憎まれ口すら引っ込んでしまう。
 社長室で不意にキスされたりしようものなら、良太は真っ赤になって、まるで恋を知ったばかりの中坊みたいだ。
 そんな良太の反応を知っていて、わざと工藤は良太に触れる。
「…社長、こんなとこで……セクハラです!」
 良太は訴える。
 社長室でこんな不埒なことをしていいわけがない。
「そうか、じゃあ、上へ行くか?」
「何言ってんです、社長! これから、KTVの向原ディレクターと打ち合せ……」
「三時からだろう? KTVまで車で三十分、一時間はまだ余裕がある。ここでちょっとブレイクしよう」
 少しでも触れられると、案外嫋かな良太の身体は発熱した。
 おずおずと応える良太が可愛い。
 何だか浮かれているな、と工藤は心の中で呟いた。

 


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