お前の夢で眠ろうか 43

back  next  top  Novels


「俺は明後日から嘉人に同行してオスロだ。奈々のプロジェクトも順調に走り始めた大事な時だし、おかしな噂立てられるのはまずい。第一社員に逃げられちゃこまるからな」
 工藤はきつく言い放つ。
「何でそんなこと言うんだよ、秋山さんだって、鈴木さんだって逃げたりするわけないだろ? みんな社長のこと信頼して…」
 工藤は冷笑する。
「甘っちょろい信頼は怪我のもとだぞ、良太。俺が極道の身内なのは事実だからな。余計なことを考えずに、お前は自分の仕事をしていればいいんだ」
 端正なマスクにのせられた表情は、いつになく抑揚がなくひどく冷たく見えた。
「余計なことって何だよ!?」
 良太は思わず声を上げる。
「殺されてもいいのかよ! あんたはよくっても、俺は嫌だ。好きな人の死に顔なんか見たかねぇ…よ…」
 いきなりぼろぼろぼろっと、良太の目から涙が零れ落ちる。
「勝手にしろ、バカヤロ!」
 社長室を飛び出すと、良太はそのまま自分の部屋に逃げ帰る。
「チクショォ、何でだよぉ…」
 工藤のこと…
 俺、好きになってたんだ…無茶苦茶……。
 どんなに工藤の腕の中が心地よくても、工藤のはどうせ大人の余裕でオフザケなのに。
 口にして初めて自分の工藤への思いを自覚した良太は途方に暮れたまま、ドアに背中を預け、ずるずると座り込んだ。
 だけど、工藤は、誰も信じてないみたいに……そんなの…可哀相じゃん…工藤…。
 

 


back  next  top  Novels

にほんブログ村 BL・GL・TLブログ BL小説へ