お前の夢で眠ろうか 46

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 最初一緒に挨拶回りをしていた良太に、奈々は一番懐いている。
「だってあの人、冴えないおっさんだよ?」
「いいの! 作品はすんごく素敵なんだから!」
 ぷうっと頬を膨らませる仕種は天然に可愛い。
「なぁによ、良太だって野球選手のビニールの定期入れなんか持っちゃってるくせに」
「バッカ、あれは元MLBの野茂! ガキの頃からの俺の守護神なんだぞ」
 前に良太がデスクに置いていた定期入れを奈々は目ざとく見つけて吟味してくれた。
「そういえば、中に入ってた写真って、彼女?」
「内緒だよん」
「おい良太、こっちにスコッチ」
 烏龍茶を渡しながら、奈々と笑いあっている良太に、大沢がそう指図する。
 名監督の息子だか何だか知らないが、良太が青山プロダクションの社員と知るやさっそく顎で使っている。
 ちぇ、あんたに良太呼ばわりされるすじあいはないって。
 良太は心の中で思い切り悪態をつく。
 遅れてやってきた工藤は、バイトで来てもらっているバーテンダーから慌ててグラスを受け取る良太を見つけて、工藤は自分が妙にいらついているのに気づく。
 奈々とじゃれあっている良太に感じた不可解な心情に工藤は戸惑っていた。
 そこへ現れたある人物。
「ああ、おそーい」
 すかさず駆け寄ったアスカの後ろから、良太はその人物を凝視した。
 あの時の超美人!
「何飲む?」
 親しげに腕を取って、アスカが聞いた。
「ほな、ビールもらおか」
 白い肌、華やかな、それでいてどこかぴんと張ったものを感じさせる雰囲気。

 


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