お前の夢で眠ろうか 66

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 秋山に問い詰められ、良太は工藤が電話や手紙で脅迫を受けていたことを話すしかなかった。
「あんたが、やったって?」
 秋山が谷川に尋ねると、苦々しく谷川は首を横に振る。
「会社をクビになるのは仕方がないが、工藤を襲ったのもその脅迫状も俺じゃない。工藤のことを調べようとしたのもついこないだのことだ」
 その言葉に嘘はなさそうだった。
 谷川にはその動機となる直接的な工藤への怨みや因縁はないのだ。
「どうしてもっと早く、話してくれなかったんだ、良太?」
 秋山が眉を顰めて良太に詰め寄った。
「だって、社長は誰にも言うなって言うし。あのオヤジ、ウラミツラミの心当たりなら山ほどあるから、そんなことでびびってたら仕事にならんとかぬかしやがって」
「ひとりで探ってたわけだ?」
 良太は神妙に頷いた。
「谷川さん、そんなにここの仕事辞めたいですか?」
「え、いや、俺も別れた女房が養育費を増やせとか煩くて、今は、ちょっと頭に血が上って…」
 秋山に問われ、谷川はぼそぼそと口にする。
「それなら尚更ここの給料は必要でしょう? せっかく仕事も軌道に乗ってきたんだし、どうせならその脅迫状の犯人、つきとめるのに手を貸して下さいよ」
 意外な申し出に、谷川は少しためらった。
「そりゃ、良太次第だが…」
「俺は、もう、谷川さんがやってくれるんなら、百人力だと思うな」
 良太は笑った。
 

 


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