夢のつづき10

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 工藤の電話が済むのを待って、良太はコーヒーを持って工藤の前に置いた。
「鈴木さんの言う通りだよ。最近、いくら何でも無理しすぎじゃないですか。ずっと休みも取ってないし」
「俺のことは俺が一番よくわかっている。お前に指図されることじゃない」
「誰がいつ、指図なんかしたよ! 俺だけじゃない、みんなも心配してる」
 これだから、ひねくれ者め!
「俺の心配より、お前こそ俺のフォロウなんかして、無理して目にクマなんぞ作る必要はない。お前は自分の仕事だけきちんとやってろ!」
 これでカチンとこない方がおかしいのだ。
「俺は目の前に仕事があったからやってるだけだ。自分の仕事をおろそかにしているつもりはないよ!」
 まだ何か言いたかったが、すぐに電話が鳴り、良太は、勝手にしやがれ、とばかり、自分のデスクに戻る。
 電話が終わるや否や、またコートを掴み、「これから札幌だ。お前はもういいからとっとと切り上げろ」と言い捨てるようにして、工藤は出て行った。
 良太が何となく窓を見やると、タクシーを拾う工藤の姿が見える。
 車はやがて夜の街に消えた。
 工藤が自分のことは棚に上げて、良太を気遣ってくれているのはわかっていた。
 あんな言い方しかできない男だともわかっているつもりなのに。
 だが、ついつい、それにのせられて激昂してしまう自分が情けない。
 とりあえずできる手配は済ませようと、受話器を取った。

 


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