夢のつづき15

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 東京は朝から弱いながら太陽も顔をのぞかせ、日中は春の兆しが感じられる暖かさとなった。
「やっと春がくるか?」
 相変わらず優しげな下柳の目が、良太に笑いかける。
「なんか明日からまたはっきりしない天気だって、言ってましたよ」
 レッドデータアニマルズ―『自然からの警鐘』のスタッフとの顔合わせと第一回の打ち合わせのために、良太は下柳らとともにMBC本社会議室に出向いたところだ。
 工藤はまだ現れていない。
 札幌のロケ現場から京都に飛び、今日東京に戻る予定だが。
 その時、後ろのドアが開いて、コートを脇に抱え、隙のないエリート然とした男が顔を見せた。
 先週の木曜に喧嘩ごしで別れて以来、良太も工藤と顔を合わせるのは五日ぶりだ。
「工藤さん、今回はよろしくお願いします」
 こちらは声のトーンも明るく、元ホワイトベアーズ監督の古谷が工藤に挨拶に立つ。
「こちらこそ、よろしくお願いします」
 二人が並ぶと、なんかすごい、と良太は思う。
 やっぱできる男のオーラってやつかなあ……
「良太ちゃん、紹介するよ」
「はい」
 下柳に呼ばれて振り返ると、そこには案の定、ミランドラのパーティで会った、大柄のライダースブーツの男が立っていた。
 あの時と変わらない髭面に、どうみても手入れのされてない伸び放題の髪、黒のレザージャケットと年季の入ったライダースブーツ、不機嫌そうな目つきの男は、カメラマンの有吉だと紹介された。
「始めまして、青山プロダクションの広瀬です。よろしくお願いします」

 


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