夢のつづき19

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「今井さんは?」
 芽久の若いマネージャーの名前を出したが、「知らないわ」とこうだ。
 知らないのではなく、芽久が勝手にうろついているのではないかと察しがつく。
「何かあったんですか?」
「高広はまだ?!」
 良太の質問などまったく無視で、そう繰り返すだけだ。
 鈴木さんが用意した暖かいミルクティーに口もつけず、芽久は爪を噛む。
 興奮したり心配ごとがあったりするたびにそういう癖が出ることを、ロケの間に良太も気づいていた。
 一時間も経ったろうか、工藤が現れるなり、芽久が「高広!」と駆け寄って抱きついた。
「なんか前にもこんなシーンなかったか、別バージョンで」
 良太は思わずぶつぶつ呟く。
「賢次郎が…!」
 芽久の口にした言葉に、工藤は険しい表情を見せ、「送ってくる」と芽久を抱きかかえるようにしてオフィスを後にした。
 良太にはそんな二人を、穏やかならない面持ちで、ふん、何だよ、と見送るしかできなかった。

 


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