夢のつづき2

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 下請け会社の中には、ドラマ専門に対応してきたところもあり、下降する経済状況の中で青息吐息の現状だ。
 小さいながらもクライアントには恵まれ、企画制作に携わった今春公開映画『春の夜の』も五十億の興行成績をあげているし、青山プロダクション自体はちょっとやそっとで揺らぐものではないが、ここのところ工藤がいつにもまして駆けずり回っているのは、自分の会社のためというより、経営がきつい下請けの制作会社になるべく仕事を回すためでもあった。
 だがやはり限度というものもある。
「はい、コーヒーここに置くわね」
 鈴木さんがそっとサイドテーブルにカップを置いてくれるまで、良太は画面に目をやりながらも、昨夜見かけた工藤のいつにない疲れ切った顔を思い出していた。
「あ、ども…」
「工藤さんもだけど、良太ちゃんもあんまり無理をしてからだ壊したら、何もならないわよ」
「俺はまあ、別にそうたいしたことやってるわけじゃないから…」
 工藤、昨夜もろくすっぽ寝ないで出かけたんじゃないか。
いい年なんだからちっとは自分の身体のことも考えろよ。
いい年なんだから、などと工藤以外の人に言えば、逆パワハラなどと糾弾されそうだが、良太は本気で心配して言っているのだ。
 それは、不仲の監督と脚本家の間で右往左往し、戻ってきた大物タレント、山野辺芽久のわがままに振り回されながらもようやくKBCテレビの二時間ドラマ『花の終わり』のクランクアップにこぎつけそうだと、良太が胸をなでおろしたばかりの頃だった。
「猪野が?!」

 


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