夢のつづき20

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 漠然とした胸騒ぎが翌日、はっきりとした不安に取って代わった。
 社長室にいる工藤に用があって良太がエレベータを降りると、工藤が社長室のドアを開けながら誰かと携帯で話しているのが見えた。
「いい加減にしろ! 十分渡したはずだ!」
 工藤は良太に気づかず声を荒げている。
 とっさに良太はドアに耳をつけたが、後は聞き取れなかった。
 想像をたくましくして、電話の相手が先日芽久が口走った賢次郎という人物であり、おそらくいつぞやの夜、工藤を訪ねてきた男ではないかと良太は考えた。
「十分渡したって、何、金……? 工藤、…脅されてるわけ?」
 おそらく直接問いただしたところで口を割るような男ではない。
 良太は、それからネットで検索してみたり、あちこちに「賢次郎」という人物についてさり気に聞いてみるのだが、依然、芽久と工藤とどういう関係なのか見えてこない。
「脅されているとなると、やっぱ問題だよな。小田さんに相談してみるか……」


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