夢のつづき28

back  next  top  Novels


 このやろう!
 工藤は良太の頭を睨みつけながら舌打ちする。
 良太はもはやSP気分で、工藤の周囲に目を光らせているつもりだった。
 工藤の方は、良太から調査依頼を受けたと、既に小田から連絡を受けていた。
 小田としては内密にという良太の心情もわからないではないが、ことが工藤のことなら、逆に忠犬ハチ公みたいな良太に負担をかけるなよ、と言ってやりたい方が勝ったのだ。
 それ以上に、良太が工藤を庇って怪我をしたという前例もあることで、むしろ突っ走りそうな良太の方を心配していた。
「お前がくたばろうってなら納得もできようが、良太がお前の身代わりになんぞ俺は許さんからな」
 悪友は電話でそう憎まれ口を叩いた。
「岸賢次郎はやばい連中に返済を迫られて、にっちもさっちもいかなくなってるらしい。やけになって何しでかすかわからん、用心するにこしたことはない。ハチの一刺しも時に命取りになる」
 小田に言われるまでもなく、工藤は常日頃から胡散臭い輩に狙われる可能性があることは忘れてはいない。
 ただ、自分だけなら何とかしようもあるが、今回は芽久も絡んでいる。
 それ以上に、妙に勇んでいる良太をどうにかしないとと思うのだが、こういう時の良太に何を言っても聞きやしないのだ。
 俺としたことが迂闊だったな。
 芽久だけにでも警備をつけておくんだった。
 力がないでもないのに落ちぶれた岸に対してちょっとでも憐れみを持ったりした自分を悔やんだ。
 とりあえず要求してきた一千万を渡し、次はないぞ、と念を押した。

 


back  next  top  Novels

にほんブログ村 BL・GL・TLブログ BL小説へ