夢のつづき32

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「でも、俺、早いとこ帰ってやらないと……」
「待ってろと言ってる!」
 良太を振り返りもせず、工藤は強い口調で言い放つ。
「工藤さん、でも芽久さんを送っていくんじゃ…」
「え……高広、一緒に行ってくれるんでしょ?」
 良太の問いかけに芽久が顔を上げた。
 刑事が質問するたび、芽久はボロボロ泣いて、なかなかまともな答えができなかった。
 今もまた涙を浮かべ、すがるような目を工藤に向ける。
「うざい野郎はもう警察だ。お前のところの社長を呼んだから、おい、今井、社長がくるまで彼女をしっかりガードしてろ」
「…は、あ…」
「何が、はあだ、きさま、返事もまともにできんのか?!」
「は、はいっ!」
 いきなり怒鳴られた今井は思わず姿勢を正す。
「いやよ、高広! 一緒にいてくれなきゃいや!」
 駄々をこねるように、芽久は工藤の腕にしがみついた。
「いい加減にしないか! いつまでもメソメソメソメソ、十代の小娘じゃあるまいし、しゃきっとしろ、しゃきっと! ったく、どいつもこいつも!」
 一喝され、芽久は涙も引っ込んだようで、掴んでいた腕を離し、きょとんと工藤をみつめる。
 うげ、これって超低気圧じゃん……
 ホテルだということもおかまいなしに、雷を落とす工藤の機嫌がめちゃくちゃ悪いのを感じ取った良太は、所在なさげに突っ立っている。
 有吉はそのようすを端から見ていたが、ニヤニヤ笑いながら「んじゃ、工藤さん、俺はこれで」とまさしく颯爽と去っていく。
 去り際もワイルドで、どう逆立ちしても良太にはできない相談だ。

 


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