タバコは噛んでいるだけで、火はついていない。
なーんか、オヤジだーーー!
うへ…五時半……もちょっと寝てろよ、工藤………
枕元の時計をちらりと見て、良太はまた眼を閉じる。
ん……相田って?
「相田企画? やっぱ何かあったのか?」
がばとベッドに起き上がり、良太は携帯を切った工藤に切り出した。
「ああ、会社更生法、倒産だ」
「まさか、相田さん……」
良太は表情を硬くする。
「ばーか、カミさんが代表になってるんで、後始末はまかせて、スタッフに仕事振り分ける算段をしていたんだ、ヤギと」
「なんだ、そうか、俺、またさ……」
工藤のようすからまた最悪の結果を思い描いていた良太は、胸を撫で下ろした。
「それでどうにかなったんですか?」
「ちょうどナイロビ行きにキャンセルがあったんで、急遽相田をヤギらと同行させることにした」
そう言いながら工藤は良太の横に入ってくる。
「うわ! 何だよっ!」
次には抱き込まれて、良太は喚く。
「睡眠不足なんだろ?! 寝ろよ! たまにはちゃんと」
「ああ、お陰で夕べはぐっすり寝た」
にやっと笑う工藤にはすっかりいつものタフさが戻っている。
って、裸じゃん、俺……まず……
「やっぱやることはやらないとな」
かあっと良太の頭に血が逆流する。
「単なる生理現象だろっ! ちょ、触るな! 俺今日、あちこち飛び回らなけりゃ……」
しかしキスは朝とは到底思えない濃厚なヤツで。
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