工藤にはてんで歯が立たないとはわかっていても、少しは抵抗しないではいられない。
だって、そんなの…くやし…
だがとっくにそんな良太の心の内など工藤はお見通しで、軽くあしらって力を奪う。
大きく息をつくと、もう工藤の意のまま高みへと連れて行かれる。
工藤は細い身体を揺さぶりながら、途方もなく甘い旋律に良太が身体を震わせるのを愉しむ。
吐息とも悲鳴ともつかぬ声をあげて自分にしがみついてくる時の良太は、どんな女にもない妙に色を含んだ艶やかさを見せるのだ。
それが工藤にとってはたまらなく可愛い。
「良太…」
途端、工藤の背中の指がきつく力を増す。
「…あ…工藤…」
良太は夢中で工藤にしがみついた。
草原が広がっていた。
群れをなして走り続ける生き物たち。
遠くで像が大きく鳴いた。
「アフリカだー!! わお! すんげーー!」
子供のように良太ははしゃぐ。
大きなライオンがゆっくりと近づいてくる。
「うわ……」
足が竦んで動けない良太の前に、たてがみを風になびかせながらライオンが座った。
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