簡潔明瞭に自分の人となりを分析されて良太はうっと言葉に詰まる。
「やっぱ、俺、藤堂さん怖くなってきた。何でそんなにビシバシ俺のことわかるわけ?」
「だから冷静に分析すれば、そのくらいわかるってこと。君だってね。で、誰かに能天気な面してるとか、言われたの?」
またしても良太は驚かされる。
「ほらあ、何でそんなことわかるんですか」
「やたら、そのキーワードを繰り返すからさ。俺に言わせると、そいつは君のことを上っ面だけしか知らないんだ」
「てことは、上っ面は能天気にみえると」
「賢そうに見えるバカより、バカっぽく見える賢者の方がいいに決まってる」
藤堂得意のわかるようなわからないような言い回しでそう断言され、良太はハハハとから笑いをする。
その時、オフィスのドアが開いて、工藤が帰ってきた。
「お邪魔してます」
ちょっと頭を下げる藤堂に、「今日は何だ?」と苦々しい表情を崩そうともせず、工藤は奥のデスクに向かう。
「ええ、ネットワークのことでちょっと」
藤堂は悪びれもせずそう答えて立ち上がり、帰り支度を始める。
「では、何分よろしく」
案外藤堂が工藤の雷を苦手にしていることはわかっていて、良太は慇懃無礼に挨拶をして出て行く藤堂の後姿を微笑ましく見送った。
そのうち鈴木さんも自分のPCの電源を落として、カップなどを片付けると、
「それじゃ、私も失礼します。工藤さん、あんまりご無理なさらないでくださいね」
と工藤に一言言い残して帰っていった。
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