好きだから 100

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 ついうっかりで勝手に独り歩きし始めてしまったプロジェクトだが、もしか実現できるのであれば、佐々木の仕事にまた携わることができるかもしれない、などと期待を持ってしまう。
「まあ、とにかく、そんな話は、何もかも片付いてからだ」
 今日は今日で午前中は球団の命で小学生チームと共に雑誌のインタビューが入り、終わってから本当なら佐々木のオフィスに直行したい気分ではあったが、ぐっと抑えて良太に連絡を入れてオフィスに行くと告げた。
 いつも手ぶらだったのを沢村は思い出し、鈴木さんにと外苑近くのパティシェリーでケーキを買った。
「あら、ありがとうございます!」
 青山プロダクションのオフィスに着くと、鈴木さんがにっこり微笑んでお茶を入れるためにキッチンに向かった。
「ってか、お前ニューヨーク行ってきたんじゃなかったのか?」
 睨みつける良太を沢村は胡乱気に見た。
「ああ?」
「何で外苑前のケーキ屋?」
 途端、沢村はむっとした顔になる。
「俺にそういう気づかいとか、求めんな」
「ったくよ」
「まあ、佐々木さんには似合いそうなストールとか………。あああ、クソ!」
 フンと良太は佐々木のことはちゃんと考えてるんだとそんな沢村を鼻で笑う。
「小田さんが真岡にアポ入れたんだが、向こうがまだ手が空かないとかぬかして、話もまだなんだ」
 沢村は思わず、テーブルを拳で叩きつける。
「クッソ! あんの古ダヌキ!」
「テーブル壊すな」
「工藤は?」
「まだドイツ」

 


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