好きだから 109

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 ACT 11

 神宮球場を後にした二人は、少し青空の出てきた空の下を青山通りへと出た。
「渋谷行くか?」
「いや、渋谷混んでるやろ、表参道まで歩かへん? 運動不足解消に」
「表参道ね、俺にはとんと似合わねぇとこだな。元嫁との初デートってやつが、青山の何とかってしゃれたレストランで、俺がガチャガチャやってたら、もっと静かに食べられないの、とか怒りまくって。こりゃもう付き合う以前の問題だな、と俺の方は思ったんだが、何故かまた食事に誘ってきて、今度は渋谷の焼き鳥屋で、何故か付き合うようになって、結婚にまでこぎつけたんだが。結局、こないだ話したみたいなことになって、ジ・エンド」
 佐々木は笑い、「その言い方やと、まだ未練あるんやない?」と聞いた。
「ない、とは断言できえねぇが、何度目かの別れ話の末だからな、会えば喧嘩ってやつで、いい加減あいつも匙投げたんだろうさ」
 元嫁は世田谷の大きな総合病院の一人娘で、今は副院長の職にあり、ゆくゆくは父親のあとを継ぐことになっているという。
「啓應受かったのに、都会は嫌だとかでわざわざ東北の、俺がようやく受かったY大に入ったって変わり者っちゃ変わり者だよな。当然、成績はトップでよ、卒業してからスタンフォード大に留学して日本に戻ってきた時、俺はまだY大の医局にいたんだが、環希から会わないかって連絡くれて、そん時、実家の病院に空きがあるから来ないかって言われてホイホイと。で、成り行きで結婚して」
 青山通りを歩きながら、稔の元嫁の話になった。
「それでなんで国境なき医師団に?」

 


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