好きだから 111

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 できればちゃんと会って言いたい。
 のはやまやまだが、会ったら、ちゃんと別れを言えるのかといえば自分に自信がない。
 それに、下手に会ったら、沢村の周囲を嗅ぎまわっているという輩に知れてしまうかもしれないことを考えると、やはり会うこともできないかも知れない。
 電話で言うしかないか。
 頭の中でごちゃごちゃといろんなことが飛び交って収拾がつかない。
「周平、聞いてる?」
 目の前で手を振られて佐々木は目を上げた。
「あ、ああ」
「この辺りに子供ブランドっつうか、そういうのなかったか?」
「キッズブランド?」
「だから、来月初め、健斗誕生日なんだよ、六歳の。去年、Tシャツとかキャップとか、燕グッズやったら、燕ばっか、だせーとかいいやがって」
「五歳児にだせーって言われたん?」
 佐々木は笑う。
「笑いごとじゃねんだよ。じゃあ、新しいゲームアプリと思ったら、そっちはかあさんがくれるからとか言いやがって」
「五歳児にかあさんて呼ばせとんの?」
「いや、俺が、かあさんて呼んでたもんだから、かあさん、とうさんて」
 稔は手持無沙汰に頭をかく。
「元、奥さん、何も言わへんの?」
「あいつはそういうとこ、あんましお嬢らしくないっつうか、ジェンダー差別とか特に嫌ってるし……ってか、環希のことはいいんだよ、とにかく、お前ならアート感覚で、そーゆうの、わかるんじゃね?」
「俺? 俺なんかにファッションセンス求めてもろても。大体が、ほとんどうちの直ちゃんが選んでくれるよって」
「ああ、あのヘヴィメタの子?」
「ファッションセンスは並みじゃないし、ああみえて稽古事一通りやってるし、一般常識は祖母に躾けられたとかできっちりやから、対外的な季節のやり取りとか任せきりや」

 


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