好きだから 118

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「理想はそうでも、今の日本では通用せえへん。理論上はいくらでもきれいごと言うてもな」
「だったらいくらでも野球なんかやめてやる!」
 ふう、と佐々木は大きく息をつく。
「それが重い言うてるんや。俺のせいでお前が野球辞めるとか、この先そんなん背負った人生とか、ごめんや!」
「……さっきの男となら、軽く付き合えるって?」
「その通りや」
 佐々木は沢村を睨みつけた。
「わかったら、もう、帰ってくれ」
「待てよ!……俺は……!」
 沢村は佐々木の肩を掴んだ。
 佐々木はそれを振り払う。
「………よくわかったよ」
 冷ややかな言葉を残して沢村は踵を返した。
 佐々木はドアを開けて入ると、全てをシャットアウトするように鍵をかけた。
 遅かれ早かれ、この時は訪れたのだと、佐々木が頭の中で呟くまで、どのくらい時間を要したか。
 これでもう終わったのだ。
 これでもう沢村と会うこともないだろう。
 これでもう、沢村の声を聞くこともない。
 でも、愛してた。
 愛してた。
 ……愛してる!

 


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