好きだから 120

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 何をやっているのか、自分でも認識できていなかった。
 何もかもがぐちゃぐちゃだった。
 これではいけない。
 頭のどこかで警鐘が鳴っている。
 佐々木は立ち上がった。
「佐々木ちゃん? どうしたの?」
 直子が訝し気に声をかけた。
 知らないうちに立ったまま、また時間が過ぎていたようだ。
「何か、今日調子悪うて……、ちょっと気分転換してくるわ。直ちゃん、悪いけど、時間になったら、鍵閉めて帰ってくれるか?」
「うん、それは、いいけど、大丈夫? 佐々木ちゃん」
「ああ、平気」
 街を歩いて頭を冷やすことも考えたが、とにかくここから離れたかった。
 佐々木は愛車に乗り込むとエンジンをかけた。
 朝から小雨が降り続いていた。
 どこへ行くということもなく、首都高経由で用賀出口から環八へと適当に車を走らせる。
 やがて第三京浜へと左折する。
 午後のまだ浅い時間だから車はさほど混んではいない。
 一〇〇キロくらいに落ち着いて走行車線を走らせていると、たまに一三〇〇あたりのコンパクトカーが隣から追い越していく。
 コンパクトカーは小回りが利くものの、以前直子の車を借りて高速を飛ばしたことがあるが、何せ音がすごいし、振動もある。

 


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