好きだから 143

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 そこから直子がチェックして、濃いグレー系のタートルに黒のパンツの上に、靴の色に合わせてキャメルの細身できっちり系のチェスターコート、スカーフを器用に巻いてくれた。
「佐々木ちゃん肌が白いから明るい色すんごく似合うよね! めちゃ可愛い!」
「はいはい、おおきに」
 可愛いなどという表現に散々抵抗してきたが、もうここまでくると、直子に言っても意味がないと最近は諦めている。
 そうこうするうちにオフィスのドアが開いて、今西本人が現れた。
「おはようございます。お迎えに上がりました」
「おはようございます。よろしくお願いします」
 駐車場には白いバンとセダンが停まっていて、セダンには平野璃子とマネージャーが乗っているらしかった。
「にしても、佐々木さんはほんと、スタイリッシュですね、今日も」
「ああ、これ、うちのスタッフの池山なんです。俺はてんで着るもんも無頓着で」
 すると大いに合点したように今西は頷いた。
「なるほど! そうなんですか」
 どうやらいいクリエイターは見かけにこだわらないという彼の持論が肯定されたようで、俄然今西は機嫌よくなった。
 バンにはディレクターやカメラマン、営業部の今西の部下らが乗っていて、佐々木に愛想よく挨拶してきた。
 機嫌はよさそうだが、既に仕事モードの今西は、今回のプランについていろいろと語り始めた。
 ユニフォーム姿でスイングしている野球モード編、ユニフォームを脱いだプライベート編、海辺をランニングするトレーニング編など、どれも野球選手を使ったCMのいわばセオリー通りのプランだ。
「でも、八木沼は結構トークにも期待できるんで、いわゆるスポーツ選手にありがちなセリフ棒読みってのはないだろうと踏んでるんですがね」

 


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