好きだから 149

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「佐々木さん? どうかしましたか? 顔が青いですよ?」
 佐々木のようすがおかしいことに今西が気づいて、顔を覗き込んだ。
「いや、ちょっと、ここんとこ根詰めてたから、立ち眩みかな。面目ないですわ」
 すると八木沼が駆け寄ってきて、「大丈夫っすか? すんません、俺のせい?」と何とも情けない顔で頭を下げる。
「いや、そんなんやないです。気にせんと」
「ほんまに? どっかで休みます?」
「いや、平気ですよって」
 八木沼は今にも泣きそうな顔で、「ほんまに、すんません」とまた謝った。
 案外気がいい男なのかもしれない。
 植山などと並べてしまったのは申し訳ない気がしてきた。
 ようやく、深く息をついた佐々木は、一歩前に進んだ。
「大丈夫なんで、バッティング、見せてください、八木沼さん」
 醜態をさらして仕事の邪魔をしたことに、佐々木は自分で呆れかえった。
 こんな、ことで、どないすんね…………。
 大きなスイングで八木沼の打った打球は緩いアーチを描いて天井近くの壁に当たって場内に強い音を響かせた。

 


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