好きだから 15

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「いやだから、そんな取引先とかのいるところでさ、京助さんは言ってすっきりしたかもしれないけど」
 良太は沢村のこともからめて現実問題としてそれを心配して言った。
「今更あの傲慢な京助が何を言ったって驚かないわよ、それに最近、態度あからさまだから何事もなかったように終わったわ。当のユキだってとうとう言ったか、くらい」
「まあ、東洋商事、綾小路一族は今や盤石の布陣ってところだし、京助さんも千雪さんもちょっとやそっとのことではゆるがないが、ご家族はあまり沢村さんに対して好意的ではないようだし、もう少しうまく立ち回った方がいいかもしれませんね」
 沢村は秋山の言葉に頷かざるを得なかった。
 綾小路京助は大学の法医学教室准教授、小林千雪といえば大学の法学部助教かつミステリー小説のベストセラー作家として知られている。
 性格は違うが二人して、我が道を行く、なところは、ある意味出会うべきして出会ったと言っても過言ではないかも知れない。
「クールとか言われちゃってるけど、ほんとはカーっとなって突っ走って後で泣きつくんだからな」
 良太が口を挟む。
「うっせーよ!」
 怒鳴り返したものの、ここのところ何かあると良太に泣きついているのは確かだ。
 綾小路京助の旁若無人さには及ばないってことだ。
 沢村は苦々しい顔で口を噤む。
「そういえばさ、また大和屋のイベントやるんだよね? 沢村っちも出るの? また佐々木ちゃん頼まれたんでしょ?」
「いや、来年はまた違う趣向でやるみたいだ。映像中心で」
 沢村に代わって良太がアスカに答えた。
「何だ、そうなの。私も出たかったんだけど、奈々とか小笠原とか出るのにさ」
「アスカさん、ドラマ忙しいし、年末からスイスでしょ」
「まあねぇ、じゃ、お茶会もやらないの?」
「いや、今度は初釜として一日だけだけど、小夜子さんに頼まれたって佐々木さん言ってた」
 今度は沢村が言った。
 昨日そんな話をしたばかりだ。
「悪いけど、佐々木さんには小田先生に相談したこととか、黙っててもらえないか? ほとぼりが冷めるまで」
 続けて沢村は言ったが、一体いつまでになるのかと、今更ながらに父親を呪った。


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