好きだから 154

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「だから、沢村っちの父親が興信所を使って沢村っちを調べさせてることとか、相手が男だとか言ったからとか、それから、沢村っちの部屋とかあたしの部屋の盗聴してるとか、確か、佐々木ちゃんの名前は出してないけど、迂闊に会えないから沢村っちが我慢してるとか、そんなこと……どうしよう、もし………だって、携帯拾ったらすぐ私のだってわかるし、佐々木ちゃん、ひょっとして追いかけてきて、聞いちゃったとか……だったら」
 アスカの表情が徐々にこわばっていく。
「もしそれが原因で、二人が喧嘩したとか……どうしよ」
「ちょっと落ち着いて、アスカさん。飛躍し過ぎだよ」
 そう言いながらも良太は、可能性がないとはいえないかもとは思う。
 二人が変だと思い始めたタイミングが確かにその数日後くらいからなのだ。
 自主トレが変というより先に、あれだけ怒っていた父親とのトラブルが片付いたと連絡した時の沢村の対応があまりにらしくなかった。
 だが、だからと言ってアスカのせいではない。
「どうしてそう突拍子もないことを考えつくんだ? アスカさん、疲れているからだろう。もう、今日のところは帰ろう」
 いつの間にか傍らに立って秋山が見下ろしていた。
 渋々立ち上がったアスカの肩を、秋山がポンポンと叩く。
 ソファに戻ったアスカが飲みかけの紅茶を飲んでワッフルを食べ始めると、秋山が良太にこそっと言った。
「もしかして佐々木さんが聞いたっての、ほんとかもね」
 良太は秋山を見た。
 秋山が言葉にすると信憑性がぐんと高くなる気がした。
「まあ、でも、アスカさんのせいじゃないですよ。もともと沢村がポカやったのが原因ですから。今度沢村つかまえてちょっと聞いてみます」

 


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