好きだから 157

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 ひとしきり食べ終えると、直子は思い切ったように言った。
「ずっとおかしかったんだ、佐々木ちゃん。でも何も言わないし。そしたら今日、佐々木ちゃんの留守に手塚先生が急に現れて、先月の終わり、神宮であったチャリティイベントに佐々木ちゃんと行ったとか言うし」
「ちょっと待って、手塚先生って?」
「前にも佐々木ちゃんと出かけてたし」
 どうも混乱しているらしい直子の話から、そういえば前にも直子が良太に電話をしてきたことがあったのを思い出した。
 直子もちょっと話したら落ち着いたらしく、あの時は詳しく聞いたわけではなかったのだが。
 今度は何者だよ? 
 要は沢村と佐々木さんだけの問題だろ?
 何か、外野に登場人物多すぎやしないかっての。
「いや、佐々木さんだって誰かと出かけるだろ?」
「違うのよ! 手塚先生って、佐々木ちゃんの幼馴染で、先生の外科医なの」
 直子は淑子が足を捻挫した時からのことを手塚について一通り説明した。
「だけど、幼馴染で久しぶりに会ったんなら飲みに行くくらい」
「だからそれだけじゃなくて、神宮に二人で行ったってこと、今日、あいつぺらぺらしゃべるのよ。スワローズファンだとか、それはいい、けど、佐々木ちゃんから誘われたっていうわけ。仕事に関係しているからとか、あたし、そんなこと何も聞いてないし、イベント行ったことだって」
 唇を尖らせて、直子は続けた。
「別にわたしに報告しなくちゃならないってことはないけど、もしかしたらイベントで沢村っちに会ったのかなとか思ったら、手塚が昼くらいには神宮出たって。それから一緒にご飯食べて買い物して、飲みに行ったって。何かまるで………」
 そこで言葉を切った直子は、少し目が潤んでいるように見えた。

 


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