好きだから 158

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「佐々木ちゃん、本人気づいてないみたいだけど、時々仕事が手につかない感じがあって、忙しすぎるからってだけじゃなくて、やっぱりおかしいのよ。そしたら、今日、手塚が、佐々木ちゃんの付き合ってる相手知ってるかとか聞いてきたの! あいつ絶対、佐々木ちゃんのこと狙ってるんだよ! だから、佐々木ちゃんには誰にも間に入れないくらい相思相愛の恋人がいるって言ってやったの。そしたらあいつ、なるほどな、とか言うの。そうするとやっぱな、とか。それってどういうことって聞いたんだけど、あいつ、じゃあまたとかって、帰っちゃって。何が何だかもう!」
 一気に言い放った直子の憂慮する思いが移ったように、良太もふうっと息をついた。
 その手塚さんって、何か知ってるんだろうか。
「実はさ、こっちも今日、アスカさんが」
 良太はひょっとして佐々木が沢村とその父親のトラブルのことを知ってしまったかもしれないことを話した。
「アスカさんも悪気があったわけじゃなくて、つい……」
「あたしだって、佐々木ちゃんがいないとこでは、沢村っちのクソオヤジのやつとか言ってたからわかる。でももし佐々木ちゃんがそれ知ったら」
「やっぱ、沢村に三行半だよな。だから沢村のヤツ、ここんとこてんでらしくないっつうか。あいつなりに佐々木さんには真剣だったからさ」
 はあっと、良太は沢村に同情した。
「でも! 佐々木ちゃんはそんなことで別れるとかしないと思う。多分、自分が沢村っちの邪魔になるとか、考えちゃったんだよ、きっと。だって、元奥さんのことだって、佐々木ちゃんの傍にいたら絵が描けないとか言われて、奥さんのために別れてあげたような人だよ? 元奥さんのことは未だに腹が立つけどね」
「まあ、それも憶測だけどね。結局は俺らじゃどうにもできない。二人の問題だからな~」
「だけどっ!」
 涙目で直子は良太を睨みつける。
 歯がゆい直子の気持ちは、良太にもよくわかった。
 きっとまだアスカもわだかまりを持っているだろう。

 


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