好きだから 16

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「仕方ないな、それで、ちゃんと佐々木さんに会ってスクープのことちゃんと話したのか?」
「まだ会えてないんだよ! 佐々木さんニューヨークから帰ったばっかだし、忙しそうで」
 心配そうに聞く良太に沢村は突っかかる。
「そうなんだよ、佐々木さんも俺も、今、いっそがしいの! ったく面倒おこすやつバッカで!」
 今度は良太が声を大にして言った。
「ああ、あの水波おバカ清太郎でしょ、全く、あいつのお陰であたしもドラマ、撮り直しだったのよ!」
 アスカも強い口調で言い放つ。
「水波清太郎って、覚せい剤で捕まったって俳優だろ? 何で佐々木さんが関係あるんだよ!」
 沢村にとっては初めて聞く話題だった。
 若手人気俳優の水波清太郎が覚せい剤所持で逮捕されたことで、出演していたドラマや映画やCMがかなりな損害を被ったというニュースは十月初めに日本中を駆け巡った。
なまじっか人気俳優だったために、CMは放映差し止め、ドラマや映画は撮り直しや映像差し替えなど関係者は大わらわとなった。
「プラグインは藤堂さんの情報網から随分前から水波を使わないようにしていたし、うちにもその情報をくれていたんで、工藤さんの息がかかったドラマとかは水波を外していたんだけど、よその制作で年明けから放映予定のアスカさん準主役のドラマに水波が出てたりして代役を探して撮り直しだ。しかもそのドラマ、スポンサーの意向でCMも水波を使わざるを得なくて、制作携わってたから佐々木さん、さっき打ち合わせに寄ったんだ」
 先ほどから良太が作成していたのはその関係書類だった。
「他にも、佐々木さん、古巣のジャストエージェンシー経由で紹介された電映社の仕事で、アホな担当が押したのが水波で、放映間近で上を下への大騒ぎで、ニューヨークから帰ったばっかなのに、今頃、その電映社の担当と打ち合わせじゃないか?」
「そうなのか」
 昨夜沢村が電話した時、佐々木は確かに疲れているようだった。


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