好きだから 162

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   ACT 14

 昼過ぎには雨が上がったものの、ビル風がきつく、佐々木は寒さには勝てずにチェスターコートにマフラーをぐるぐる巻き、温かいブーツを履いてオフィスを出た。
「今日もプラグイン? 佐々木ちゃん、昨夜遅かったんでしょ、何か顔色悪いよ」
「まあ、今日で何とか目途がつくはずやから。いい加減昨夜は帰って即寝たし」
「車で送ろうか?」
「平気。歩いた方が頭も冴えるよって」
 そんな佐々木を直子は心配顔で見送った。
 昨日はプラグインの藤堂と共にクライアントである東洋不動産に赴き、昨夜遅くまでプラグインで最後の調整に入っていたが、夜中二時を過ぎたところで藤堂が翌日に持ち越しを決めた。
 十一月に佐々木は藤堂に同行しでニューヨークに出向き、在住の大物ミュージシャン、常盤繁友をイメージキャラクターにした撮影が行われた。
 年明けの放映になるCMだが、東洋不動産の広報から細かい指示が入り、かなりギリギリになったものの、浩輔も佐々木を手伝ってくれているし、何とか今日中に調整が終わる予定だった。
「佐々木さん、元からプラグインのメンツだったかのようだよね」
 難しい顔でモニターを睨んでいると、藤堂が時々入れる茶々で息をつくことを思い出す。
「でも、佐々木さん、顔色よくないし、大丈夫ですか? 去年も今頃、風邪ひいたでしょう」
 隣に座る浩輔が佐々木の顔を覗き込む。

 


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