好きだから 163

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「今のとこは平気や。大和屋のイベントCMが残っとるし、まだ寝込むわけにはいかへんな」
「よし、キリのいいところで、お昼にしよう。今日は寒いし、もうすぐ松花堂弁当が届くからね」
 二人のようすを見ながら藤堂は立ち上がり、キッチンに向かった。
 今日は河崎、三浦組も朝からオフィスにいて、何やら二人でああでもないこうでもないとやっている。
 師走のプラグインは昨年と比べて忙しさも倍増している。
「お昼の用意ができたよ」
 届いた松花堂弁当を大テーブルに並べ、お茶をそれぞれの席に置いて、藤堂が呼んだ。
「うまそうや」
 佐々木は弁当の蓋を取った。
 朝はパンをかじりかけたがあまり食欲がなく、ビタミンゼリーを飲んだだけで出てきたので、さすがに少し腹が減った気がした。
「わ、きれいですね」
 浩輔がいそいそと箸を取った。
「とにかくやつらの表情が軽い。何とかしろ」
「しかしですね……」
 食べながら仕事の話の続きになっている河崎と三浦に、「そこ! 食事中は仕事の話抜き」と指導を入れる。
「仕事の話でなけりゃ、何を話す?」
 河崎がうるさそうに藤堂に文句をつける。
「高尚な趣味の話に決まってる。あ、悪い、お前にはそんなものなかったか」
「ほう? 高尚な趣味ってのはやたらものを配りまくるサンタもどきのことか?」
「ゴッホもモーツァルトも千利休もわかんないやつにはサンタの偉大さもわからないんだよな~」

 


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