好きだから 172

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 稔は一気に言い放つと、ふうっと息をつく。
「まあ、とにかくだ、心は身体に直結してる。寝込みたくなけりゃ、とっとと心の方を修復しろ。これは主治医としての命令だ」
「稔さん、いつから俺の主治医になったんやね」
「今からだ、フン。今日はとっとと寝ろ」
 稔が出ていくと、佐々木は苦笑する。
「聞こえてたんやな、やっぱ、あの時」
 結構声をあげてたし、稔に何も聞こえなかった方が不思議なくらいだ。
 あの時のことを言うためにわざわざ来てくれた稔には悪いと思うのだが。
 相変わらず熱い男やね、稔さん。
 けどな……………。
 ことはそない簡単にいかん、情熱みたいなもんだけでどうにもなれへんね………
 ビールも少し口をつけただけなのに足元もおぼつかなくなってきた佐々木は、寝室に向かいベッドにそのまま倒れ込む。
 目を閉じるやいなや闇の森に深く落ちていった。

 


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