好きだから 175

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「おい、離……せ………くるし………」
とその時、襖が開いて、かおりと肇が現れた。
「え、何、? お邪魔だった?」
 かおりが二人を見て言うと、肇が居心地悪そうな顔をした。
 はっとして良太は沢村を力いっぱい引きはがす。
「ちょ……ちょっと、こいつに気合いれてたんだ」
「いいのよ、隠さなくても、私たちの仲じゃない」
 かおりは意味ありげな視線を向けてフフッと笑い、バッグを置いて向かいに座る。
 無表情の肇はうっす、と言っただけでその隣に座ったが、もろ疲れてますという顔だ。
「だよなー?」
かおりに合わせて沢村がへらっと応える。
 そういえばこいつら、スキーの時すっかり二人の世界で、沢村と佐々木さんの顛末も知らなくて、まだかおりは沢村と良太がつきあっていると勘違いしたままだったんだ、と良太は思い出した。
 やがて沢村がオーダーした料理が運ばれてくると、かおりは並んだ料理をざっと見まわし、メニューを開いた。
「すみません、生三つと、揚げ出し豆腐、あん肝、豚しゃぶサラダ、鯛しゅうまい、天ぷら盛り合わせ、ほっけ、とりあえずお願いします」
 スタッフがオーダーを確認して部屋を出ていくと、「よくそんなに食えるな」と肇がぼそりと呟いた。
「あら、年末の残業くらいで胃の調子を崩す方が柔すぎるんじゃない?」
 つん、とかおりが言い返した。
「係長とかなってみろ、上にも下にも気を使って仕事もこなさなきゃならないんだ」
「悪かったわね、お気楽な派遣で。こう見えても私、ボスには覚えめでたいのよ。係長さんほどじゃなくてもね」
 おいおい、沢村の言動が気になりまくりだってのに、まさか、こっちもきな臭くなってんじゃないよな?
 良太はつんけんと言い争う二人をなだめにかかる。

 


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