好きだから 177

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「だから式は近親者だけでハワイで上げて、披露宴は横浜でやろうっていってるだろ?」
「重そうなカツラつけたりしてダッサダサな披露宴とか、いやだから。立食パーティとかならまだしも、着物なんか絶対着ないし」
「いや、こいつら、隣町どうしで中学は別だったけど、実際は数軒しか離れてないご近所でさ、その辺の地主の肇んちと海外生活長かったかおりんちで互いの親が干渉してくるらしくて」
 またぞろ言い争いを始めたかおりと肇をよそに、良太がかいつまんで沢村に説明した。
「なるほどね。けどうるさいくらいならまだいいってもんさ」
 確かに多かれ少なかれそれぞれ親や家の事情があるものなのだが、沢村の家の事情はまた面倒なんだと良太は改めて思う。
「披露宴やれよ。んで、俺も招待しろよ。ただし、ゴールデンウイークなら夜な」
 能天気そうに沢村は言った。
「俺、披露宴ってやつ、いっぺん行ってみたい」
「沢村くんなら豪華な披露宴いろいろ出てるんじゃないの」
「残念ながら学生ん時から俺、嫌われもんでダチいねぇから誰も呼んでくれねえの。うち関係は関わりたくねぇから野球を盾に行ったことねぇし」
「何言ってんだよ、ガキの頃からスター様だったくせ」
 肇が皮肉交じりに言い返す。
「バーカ、金持ちで成績トップで、四番打って打率トップで周りを見下してる俺様と友達になろうなんてやつがいるかよ。俺に取り入って俺のバックに用があるやつくらいだ」
 自虐的な話を自慢気な口調で沢村は断言する。
「んなの、えばって言うことかよ!」
 良太は呆れた顔で沢村を見た。
「っせえ! だから、かおりちゃん、俺も呼んで? 披露宴」
「そりゃ、いいけど」
「着物、似合うんじゃねーの? カツラとかやらなくても、着物くらい着たらみんな喜ぶんじゃね?」
 ついでのように沢村に言われて、かおりはちょっとまんざらでもないという顔になった。
「そう、かな」

 


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