好きだから 179

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「その前にしっかり訂正しとくけど、かおりちゃん、俺とこいつは何でもないから! かおりちゃんの誤解だから」
いつまでも沢村にからかわれてばかりでたまるかと、良太が言い放った。
「え、そうなの?」
「良太、つれねぇぞ!」
また抱きつかんばかりの沢村をすんでで阻止した良太は「いい加減にしろ!」と怒鳴りつける。
「とにかく、乾杯! 春のお前らの結婚にと来年もよろしくってことで」
良太が促してやっとジョッキを合わせて乾杯となったと思うや、ごくごくとビールを飲んで一息ついたかおりが、「で? どうなってるのよ?」と話すまでは許さないとばかりに二人を睨みつけた。
「どうなってるっても………」
やっとお通しに箸をつけた良太は、かおりの剣幕にも説明のしにくさに口ごもる。
「こいつが、振られるたびに俺に泣きついてくるっつうか……」
「だから俺にはこいつっきゃいねえんだよ!」
「その言動が誤解を招くんだろーが!」
「事実だ」
さらに沢村ははああと大きな溜息をついた。
「お前に見放されたら、もうオープン戦だって乗り越えられねー。開幕早々リタイアってのもざまーねーよな~」
「何言ってんだよ、お前」
今まで沢村に対してあまり口を開かなかった肇が急に強い言葉で苦言を呈した。
「お前自身が言ってる通り、高校の時から野球やってるやつが憧憬の念を抱く日本でトップを争うスター選手なんだぞ! それこそざまーねーようなこと言うな! たかが振られたくらいで!」
一瞬きょとんとした顔で沢村は肇を見た。
「活を入れてくれてどうも監督! ってとこ?」
沢村は茶化して苦笑いする。


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