好きだから 18

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 その夜、佐々木の携帯が鳴ったのは午前零時を過ぎた頃だった。
「俺、起きてた?」
 待っていたその声に、佐々木は勝手に胸が熱くなるのを覚えた。
 もともとのんびり生きてきた佐々木は、ニューヨークから戻ってから忙しすぎて訳が分からなくなりそうで、疲れ切ってうとうとしていた。
 だが、昨夜久しぶりに沢村の声を聞き、明日会う約束をしてから時間を連絡すると沢村が電話を切ってから、打ち合わせをしている間も頭のどこかでずっと連絡を待っていたのだ。
「ああ」
「明日、時間取れる?」
「ああ、取れる」
「何か忙しそうだけど、大丈夫?」
 いつも図々しいくらいなのに、妙に引いているような言葉に、佐々木の心に得体の知れない不安が過る。
「…大丈夫だ」
 一呼吸おいて佐々木は答えた。
「じゃあ、明日、七時にオフィスに迎えに行く。いいか?」
「わかった」
「ほんとは、すぐにでも会いたいとこだけど、疲れてるみたいだから。……じゃ、明日」
 自分もすぐにでも会いたいと口にしそうになって、一瞬躊躇しているうちに電話は切れてしまった。
 ふう、と佐々木は一つ息をついた。
 


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