好きだから 214

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「なかなかうるさくてええよ、これ」
「そう? じゃ、これ使って」
 直子はいそいそとプレーヤーを佐々木に渡すと、「直はね、2番目のHardwiredと次のEnter Sandmanがおすすめ!」と付け加えた。
「わかった。これで仕事もはかどりそうや」
「そうだ、佐々木ちゃんご飯どうするの?」
 直子が思い出したように言った。
「せやな。直ちゃんに、奢るとか言うてから全然時間取れへんし、寿司でもとって一緒に食べてく?」
「わーい! 一番寿司と寿司の平河、どっちにする?」
「たまにはリッチに佐倉さんにしてみよか?」
「え、うわ、ミツボシの?」
 直子は満面の笑みで特上を二人前注文すると、「せっかくだから美味しいお茶、いれなきゃ」といそいそとキッチンに向かう。
 直子は湯飲みや急須をトレーに乗せながら、佐々木と二人でご飯やお茶をするのが随分久しぶりなような気がした。
「ほんとは、佐々木ちゃん、私じゃなくて沢村っちとご飯食べた方がいいのに」
 佐々木が制作会社に詰めていた間に、良太に連絡を取って、沢村が振られてひどく落ち込んでいるという話を聞いたのだ。
 確かに二人の間の問題に、外野が首を突っ込むものではないかも知れないが、やはり佐々木はわざと沢村を遠ざけたのだろうと、直子は思っていた。
 佐々木には何も聞いてはいないが、おそらく沢村のために。

 


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