好きだから 22

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「なーに、河崎の名前をちょっと借りてね。やつのじいさん、このホテルのオーナーと懇意だってから」
 河崎は藤堂や浩輔が籍を置く広告代理店「プラグイン」の代表だが、今日はスタジオで撮影に入っている。
「なるほどぉ。今日は悠ちゃんは?」
 藤堂の同居人で画家である悠は、こういうイベントがある時大抵助っ人に来てくれるのだが。
「作品展の準備で忙しくてとても近寄れないよ、今は」
「それにしても昨日の今日で、よくこんなに芸能人集まりましたね」
「みんな面白そうなことに飢えてるのさ」
 笑いながら浩輔はウォーターフロントの夜景から室内へと視線を移した。
「万里子さん、スパイダーメイクすてき!」
「ありがと。あら? アスカちゃん、彼は? 何か堂々と車寄せからカップルで見せつけてくれたけど、いつの間に付き合ってたの?」
黒の総レースのシックなドレスの小野万里子はさりげなくこめかみにスパイダーメイクを施している。
「付き合ってないよ。お友達。部屋に寄ってから来るって。彼、このホテルに住んでるの」
 アスカはさらりと答える。
「ああ、沢村? けど、車寄せんとこお前らタクシーから降りた時、どっかのマスコミ張ってたぞ。ぜってぇスポーツ紙とか出るんじゃね?」
そう心配そうに言ってくれたバットマンTシャツの男は万里子の夫、井上俊一だ。
青山プロダクションの嘱託カメラマンである。
「出たらあたし、久々のゴシップネタ?」
「そんな嬉しそうに言わないでください」

 


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