好きだから 221

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「少しはわかった。友香さんが佐々木ちゃんのことを好きだけど離れたっていうことが。春日さんみたいなことも考えたんだと思う。そして友香さんは離れたことを正解にしたんだわ。それができる強さがあった。でもさ、佐々木ちゃんが友香さんと別れたのは、優しいからよ。友香さんに言われたことをそのまま受け取って友香さんのために別れるしかないって」
「そうだな、あいつの場合、優しすぎるのが玉に瑕だ」
 春日の言葉は直子の胸に響いた。
 佐々木は優しいから、だから友香さんと別れたように、沢村っちと別れないとダメだと思ってるんだ。
 沢村っちは、もし佐々木ちゃんとのことが公になったとしても、だから何だよって人だと思うよ? そんなことで潰されちゃったりしないよ。
 直子は俯いて唇を噛む。
「なあ、ほんと言ってあいつ、誰か、いるのか?」
「え?」
 春日の言葉に直子は顔を上げた。
「お前、俺だって佐々木とは長~い付き合いなんだぜ? 夏の終わり頃だったかここに寄った時、そんな気がしたんだよ。いい付き合いしてんじゃねえかって。それがこないだ、スタッフのことで電話してきた時、何となく雰囲気から、仕事以外でも何かあったのかとな。大概、そんな時は俺に泣きついてくるのに、どうもおかしいって思ってな」
 やはり春日にわからないわけがないだろうと直子は思う。
 でも、春日にさえ相手が相手だからと、佐々木は話していないのだ。
 それなのに自分が口にするわけにはいかない。
 直子は佐々木も好きだし春日も好きだ。
 春日なら佐々木に何か答えをくれるかもしれないのだが。
「そうか、わかった。直まで悩ませるようなことなわけか」


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