好きだから 224

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「いやあ、浩輔、ほんま、頼もしうなったわ」
 昼前に会社を出ることができた二人は、タクシーを捕まえて乗り込んだ。
「何ですか、急に」
 隣に座る浩輔が佐々木を振り返る。
「しかも営業とクリエイター兼ねてて、これからのステイタス最前線やんか」
「勘弁してくださいよ、許容範囲越えたことやらせられても」
 浩輔は懸命に抗議する。
「いや、実際やってるやん。次回大和屋のプロジェクトまたやるいうことになったら、今度は浩輔がメインでやれるな」
「クライアントが承知しませんよ。佐々木さんだからOKなんです」
「ベリスキーも新プロジェクト、浩輔がメインでオファーが来たんやろ?」
「そうですけど、ああ、そうだ、言うの忘れてましたけど、阿部さん、憶えてます? ベリスキーの」
「阿部? そんなやついたっけ?」
 そういえばと思い出した浩輔は、担当の藤本が支社のサポートで数か月いなかった時に、阿部が担当になって散々な目を見たことをかいつまんで話した。
「二度とも見もしないで差戻し? 何で?」
「どこがどう気に入らないかって聞いても、そんなこともわからないのかとか、みくびってるのかとか、具体的なことは何も言わないし、デザイン、端っから俺のなんか見る気もないって感じで、藤堂さんも俺のデザイン見て、悪いところが見当たらないって言うし、結局のところ、ちょうど広報部長がやってきて、いいじゃないかって言ってくれたからよかったようなものの、でなければ最終的にボツってました」
「何やね、そいつ、見る目がなかったとか? 或いは今回の東洋不動産みたいな策略とか?」
 


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