好きだから 230

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「寝ろ。起きた頃には着いてる」
「ほな、お言葉に甘えて。安全運転で頼むで」
「了解!」
 どのくらい経ったかわからなかったが、ドアが開く音で佐々木は目が覚めた。
「……着いた?」
「起こしたか? お前も便所行くか?」
「ええわ……眠い……」
眠いというより身体が重い。
佐々木は目を閉じるとすうっと落ちていくように意識を飛ばした。
稔はサービスエリアで休憩を取り、飲み物や弁当類を買い込んだ。
それから一時間も経たないうちに諏訪南ICを出て、車は茅野市に入っていた。
「着いたぞ」
 山荘の前に車を停めた稔は眠っている佐々木に声をかけて車から降りた。
 山荘はこじんまりとして、隣との距離もかなりある。
 今年はまだ雪がまださほど深くはなく、あらかじめ管理人にガスや水道、電気などを使えるように頼んでおいたのだが、道路から玄関までを軽く雪をよけてくれたらしい。
 のっそりと車から降りた佐々木は後部座席からリュックを取り、稔に続いた。
「へえ、何か、前来た時とは随分感じが違う」
 吹き抜けのリビングで佐々木は山荘の中を見回した。
昔はもっと床も家具も古かった記憶がある。
二階への階段もギシギシと暗いイメージがあったが、床も階段も明るい色に張り替えられ、ソファセットもゆったりしている。
「だから、オフクロがリノベしたらしい。おお、風呂とかもすんげえハイテクになってるじゃん」

 


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