好きだから 232

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「仕事明けで休みなかったし、今日明日くらい? 日曜の夜はお茶の稽古あるよって、サボったりしたらオカンがカンカンや」
 直子にはとりあえず明日休むて連絡しといたらええな。
 佐々木が疲労が溜まりきってることは知っているから、一日休むと言っても、直子はおそらく納得してくれるだろう。
「お前な、いい年して、オカンオカン言ってる場合かよ。弁当ちょっとでも食わねえ? 持っていくわ」
「ええよ、そっち行く」
 キッチンの横に四人掛けのテーブルがあり、佐々木は椅子を引いて座る。
「お茶の稽古は仕事絡みなんや。お前の天敵の綾小路紫紀さんの奥さん、大和屋いう呉服問屋の娘で、そこのイベントの一環で、茶の湯をやることになってる。今年の正月のイベントほどでかくはないけど、年明け二日に、オカンの一門ごとかり出されよって」
 佐々木は温かいお茶を飲んで少し息をついた。
「天敵は京助だろ。しかしそらまた、メンドイ話だな。お前も大概、母親離れできねぇな」
「まあ、しゃあないわ」
「弁当、食いたくなったら食え。冷蔵庫いれておく。今から買い出し行くが、何か欲しいもんあるか?」
 稔はざっとカップを洗うと、弁当を冷蔵庫に入れた。
「おおきに。今んとこ思いつかん。ちょっと寝るわ、寝不足で頭ぼおっとしとるし」
「おう、待ってろ。ベッド、用意してくる」
 リビングの隣に十畳ほどの寝室があり、ベッドが二つ、奥にはクローゼットや小さなデスクがあり、オイルヒーターが設置されている。
 カーテンを開けると、雪に覆われた白樺の森が広がっていた。
 稔はクローゼットからシーツを取り出してベッドを整え、佐々木を呼んだ。
「じゃあ、もう、寝てろ。俺は買い出し行ってくるから」

 


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