好きだから 233

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 寝室から出てきた稔は、ソファに放っていたバッグを掴んで玄関に向かおうとした。
「ほな、寝さしてもらうわ」
 立ち上がって歩き出そうとした佐々木は、少しよろけてテーブルに手をついた。
 視角の端に何気なくそんな様子を捉えた稔は、違和感に振り返った。
「おい、周平!」
 つかつかと佐々木に歩み寄った稔は、その腕を掴んだ。
「お前……!」
 掴んだ腕が熱いのに気づいて、片方の手を佐々木の額に宛てる。
「ったく、迂闊だった! お前、ひでぇ熱じゃねーか!!」
「熱? 別に平気やで?」
「とにかく、ベッド行け!」
 稔は佐々木の腕を掴んだまま、寝室のドアを開けた。
「着替えとか持ってきたか?」
「ああ」
 佐々木をベッドに座らせると、腕組みをして佐々木を見下ろした。
「まったく、何考えてるんだお前は!」
「そういや、ちょっとふわふわするかな」
「ふわふわじゃねぇ。クッソ、ちょっと待ってろ!」
 稔は佐々木の身体の状態に気づかなかった自分に苛立ちながら、車に戻ると、いつも載せている診療道具一式が入ったケースを取り出して屋内に戻った。
「何、医者みたいやんか」
「医者なんだよ。おら、口開けろ」

 


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