好きだから 235

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 ありゃ、まだ何も解決してねぇな。
 沢村のことを聞こうと思っていたが、あんな有様じゃ聞くに聞けねえ。
 だから言っただろうが。
 メンタルの状態がそのまま体調に影響するって。
「クッソオ、病人のあいつを一人置いて帰れねぇだろ」
 しかし、健斗との約束を反故にしたら、それこそ親子の縁も切られそうだ。
「仕方ねぇ、サンタが終わったら引き返すっきゃねぇな。うーん、早くて夜中か」
 稔の場合、医者のくせに自分の子供には風邪なんか食べて寝てれば治るという母親だった。
 確かに、ちょっとくらいの熱ならポカリスエットを一気飲みして寝て、一晩で解熱し、翌日はバクバク食べてすぐ直ったということもあった。
「周平の場合、疲労だけじゃねぇからな」
 ドラッグストアで、パンやレトルトのおかゆ、スープ、牛乳、栄養ゼリー、アイスクリーム、ポカリや経口補水液と共に市販の鎮痛剤や総合感冒剤、胃腸薬、熱さましシートなど目についたものを一気に買い込み、近くの衣料品店でTシャツを数枚と下着を調達した。
 山荘の周りには歩いて行けるような店は何もないため、車が必須なのが難点だ。
 あのやろう、そういうことも何も考えてねぇな。
 山荘に戻った頃には、そろそろ出かけないとまずい時間になっていた。
 寝室を覗くと佐々木は眠っていた。
 ベッドわきのサイドテーブルに、薬類や飲み物、カップ、水、栄養ゼリーなどと共に着替え用のTシャツや下着類を置いた。
 朝まで病人を一人放っておくというのはやはり心配だった。
 いや、周平だから心配なのだ。
 大の男かも知れないが、たかが風邪でも大人の方がこじらせることもある。
「いや、こいつ、こじらせたから熱がでたんだろ」

 


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