好きだから 238

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「内村医院だな」
「連絡入れておく。それから!」
「何だよ!」
「周平の特効薬になれるかどうかは、お前次第だ。運転するんなら、クールダウンしろ」
 携帯はいきなり切れた。
「………ったく、このガキァ!! しかし考えてみりゃ面白れえ組み合わせだな。ああ、CMの仕事かなんかでとか? にしてもあの周平がなあ」
 あの器量だから男にももてたし、俺を筆頭に親衛隊もいたくらいだが、どっちかっつうと可愛い子がタイプじゃなかったか?
 どっちにせよ、こりゃ、周平側の問題だな。
 大の男であれ、いや、年をとればとるほど人と気持ちが通じ合えるかとか、怖くなるのはわかる。
 わかるが。
「逃げを打ってばっかじゃ、先にも進めねぇだろうが、このバカが。とっとと決着つけろよ」
 時刻は既に五時になろうとしている。
 眠っている佐々木にそう声をかけると、稔は枕もとに佐々木の携帯を置き、後ろ髪を引かれる思いで山荘を出た。
 中央道に乗る頃には雪がちらつき始めていた。

 


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