好きだから 24

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「アスカさんがくれたコスプレだろ」
 沢村はニコリともせずに返した。
「うん、サイズもぴったし! 知り合いの衣装係さんに頼んで一晩で用意してもらったんだよ」
「まさか本物の沢村選手に会えるとは思わなかった。子供の頃から関西タイガースファンなんです、私、神戸出身だから」
アスカの後ろからそう言って近づいてきたのは小野万里子だった。
「はあ、どうも」
意識が窓際にあるので、美人女優の出現にも沢村の答えは相変わらずそっけない。
「何だよ、万里子、聞いてねぇぞ」
 だが後ろから身を乗り出してきた俊一は面白くなさげだ。
「だって言ってないもの」
「おい……」
「まあまあ、お二人とも、こんなところで開戦しないでくださいね」
 藤堂がシャンパングラスを持って割って入り二人に渡す。
「似合ってるよぉ、沢村っち! おっきい執事さんって感じ」
 そわついている沢村の元へ、ゴスロリのカップルの方から近づいてきた。
「やあ、直ちゃん、……佐々木さん」
 沢村は直子に手を引かれてやってきた佐々木を見とめると、すっと微笑みを浮かべたが、佐々木の方は沢村と目があった途端、視線をそらしてしまった。
「ねえ、藤堂さん、そちらのお二人ってモデルさん?」
 万里子が藤堂に尋ねた。
「ああ、そうか、万里子さん、お二人とは初対面だったね、こちら、クリエイターの佐々木周平さんとアシスタントの池山直子さん。で、こちらは女優の小野万里子さん」
「え、知ってる! 業界じゃ有名な天才クリエイターって、うっそ、すごいお綺麗だからてっきりモデルさんかと! 今日来てよかった! 沢村選手にも会えたし!」


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