好きだから 243

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「悠ちゃんや高津さん、悦子さんが準備やってくれて助かった」
 その三人はカウンターでカクテルを作ったり、グラスを取り替えたりと忙しく動いている。
 広いリビング全体は、三人のアーティストの手によって、いつもながらすっかりクリスマスワールドと化していた。
「藤堂さんもあんまし寝てないんだろ? あの人タフだよな」
「いや、俺以外、みんなタフだよ、うちの面々」
 感心する良太に浩輔が笑う。
「大和屋さんのイベントCM、今年は去年程大々的じゃなくてまだよかったじゃん」
「そうだね。去年は展示会以外に展覧会もあったからね。ショーも大がかりだったけど」
 大和屋は何とかクリアできたが、問題の東洋不動産の件は、まだ返事が来ていないらしい。
 浩輔は気が気ではない。
 もしまた修正が入るとかになったとしても、佐々木をこれ以上酷使させたくないのだが。
「うわ、直ちゃん、それ何杯目? 大丈夫?」
 気づくと直子はもらってきた焼酎をロックでごくごくと空けている。
「美味しいよ、これ」
 今日は黒の複雑なレースがポイントの膝丈のスリットの入ったタイトのワンピース、ハイヒールに髪は縦ロール、大人可愛いビスクドールな雰囲気だが、へらっと笑って空になったグラスを掲げて見せた。
「そうだ、悠ちゃんたち、上のギャラリーで来月下旬に三人展やるんだ。何かみんな気合入っててさ」
「そうなんだ、佐々木ちゃんにも言っとかなくちゃ」
 直子がしっかと拳を握る。
「うん。案内状もちゃんと出すけどね」
「俺も行くから。あっと、そろそろ帰らないと。猫たち待ってるし」
 時刻は夜中の一時を回ろうとしていた。

 


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