好きだから 245

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 粉雪がずっと舞っていた。
 東京と比べると気温がかなり低い。
 山荘に入るとリビングには薪ストーブが燃えていて温かかった。
 佐々木はずっと眠っている。
 時折苦し気な呼吸になり咳をするので、沢村は汗を拭いたり、熱用のシートを取り替えてやった。
「医者のくせに、何だよ、市販の薬ばっかじゃねぇか」
 枕もとのテーブルに並べてある薬やドリンク剤、ポカリや経口補水液を見て、沢村は呟いた。
 赤外線体温計があるので、熱は測りやすいだろう。
 ここに着いたのは八時頃だった。
 そうひどい雪ではなかったが、気を張って運転してきたので、ここで佐々木の顔を見た時はほっとした。
 それから隣のベッドに座って、佐々木を見つめていた。
 諦めるつもりはなくてももう会えないかと思ったこともあった。
 佐々木が頑なに沢村を拒否しているのはわかったが、稔と一緒だったり、仕事とはいえ八木沼の件で練習場に現れたりと、むしろ沢村を煽ることばかりで、結果佐々木を追いつめるようなことになってしまった。
 とにかく今、こうして、佐々木の吐息が感じられるほど傍にいられることが嬉しかった。
 沢村はしばらくそうしてただ佐々木を見つめていたが、稔が佐々木の携帯を鳴らしたのは午前零時を過ぎた頃だった。
「一応さっきインフルの検査はしたが、かかった頃合いで陽性にならねぇことがあるし、明日になっても熱が結構高いようなら、内村医院に電話しろ。さっき事情話したら、そっちに来てくれるってよ」
 おそらく稔は誠実な人間なのだろう。
 もし仮に、万万が一、佐々木が自分をどうしても拒否するというのなら、稔なら託せないこともない、かも知れない。
 少なくともあのおちゃらかし大輔とかでは断じてない。
 だがそれは万万万が一の話だ。

 


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