好きだから 247

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 リビングで改めて山荘を見回すと、吹き抜けになっているから狭く感じないし、こじんまりとして過ごしやすそうだ。
 そういえば弁当を買ってきたなと、ようやく空腹を思い出して、ストーブの前で平らげた。
 冷蔵庫にはビールなど酒類も入っていたが、佐々木のことがあるので、アルコールはやめてキッチンに置いてあったインスタントコーヒーをいれる。
 スープなら飲むだろうかなどと考えながら、そこでレトルトのおかゆをみつけた沢村は、裏にある作り方を凝視した。
「鍋でそのまま温めればいいのか。沸騰したお湯に五分」
 棚を開けてミルクパンを取り出した。
「これでいいか」
 佐々木が目を覚ましたら、昨日から食べていないらしいし、この梅が入っているらしいおかゆを食べさせるか、スープを温めればいいかと。
 音を立てないように寝室に戻ると、佐々木は夢を見ているのか何やらうなされてまた咳をしている。
「佐々木さん……」
 沢村は優しくそっと髪を撫でた。
 すると佐々木が少し目を開けて、沢村の手を掴む。
「沢……村………」
 佐々木の目を覗き込むと、佐々木の目から涙が零れ落ちた。
「どした!? 佐々木さん? どっか痛い?」
「……行くな……」
 焦る沢村に佐々木がぼそっと言った。
「………え?」
「怖うて…………お前がおらんようになったら……俺、ほんまに……こわれてしもて、何もでけんようになって…生きて行かれへん…」
「俺は! どこにも行ったりしない!」
 沢村は佐々木を抱きしめた。

 


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