好きだから 252

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 頭痛がするからか、明快なくせにわけのわからない沢村の答えに佐々木は眉を顰める。
「あんた、俺のことわざと拒否ったりするから、寝込むことになるんだろ」
「………頭が痛い……」
 反論する言葉が見つからない。
 何で? いつの間に、稔さんと沢村が手を組んでるんや?
 考えれば考えるほど、佐々木は余計に頭が痛くなる気がする。
「薬、飲むか?」
「……飲む……」
「持ってくる」
 沢村はキッチンに行って、水を入れたグラスとバナナを一本持ってきた。
「バナナ、どれだけでも食べた方がいい。薬、胃を荒らすから」
 佐々木は起き上がって沢村が皮をむいてくれたバナナを受け取ると、むきになって一本食べきった。
 バナナの皮の代わりにグラスを持たされて顆粒の風邪薬を渡されると、水で飲み下した。
「とにかく寝てろよ」
 沢村はグラスを取ってテーブルに置くと、佐々木をまた寝かしつけたが、頭痛のせいだけでなく、何か不機嫌そうだ。
「ちぇ、何だよ、さっきは可愛いこと言ってたくせに」
 しかも涙とか。
 改めて思い出すと、沢村まで熱でも上がりそうになる。
「夢だろうが、潜在意識ではああ思ってるってことだろ」
 ぐっと両方の拳を握りしめて、「これで佐々木さんが何言ったって、切り札になる!」とひとり喚く。
 ようやく沸騰した頭を宥めるべく、コーヒーをいれてリビングでパンを齧っていると、沢村の携帯が鳴った。
「あんたか」
 稔の声に、つい、突っかかり気味な返事を返す。

 


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