好きだから 254

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「わりぃな、昨日から蓼科だ。佐々木さんと」
 からかうような良太の声に沢村は勝ち誇ったように答えた。
「へえ、ほお? やっとお許しが出たのか?」
「るっせ!」
 年明けの正月特番の打ち合わせを年内のどこかでという良太に、佐々木家の大掃除のスケジュールを確認したら連絡すると言って電話を切った。
「直ちゃんに聞けばわかるか」
 早速直子に確認すると、「三十日にやるって言ってたよ」という返事だ。
 自主トレはちょうど二十九日に切り上げることになっている。
 というのも、最初から佐々木家の大掃除は昨年と同じ三十日あたりだろうとあたりをつけてスケジュールを組んだのだ。
「二十八日の月曜日は午前中大和屋のショーのリハがあるけど、何なら浩輔ちゃんに任せればいいし、午後からジャストエージェンシーの納会があるから、佐々木ちゃんも出席予定なんだけど、体調と相談して欠席なら私がうまく言っておくから。ちなみに佐々木オフィスは二十九日までの予定」
 今年は仕事が延びるとかスケジュールがかなり崩れたのだと直子は続けた。
 二十九日はざっとオフィスを掃除して終わりだという。
「そうだ、大事なこと! 佐々木ちゃん、起きられるようになったら伝えて」
 今さっき、プラグインの藤堂がチョコレートケーキをお土産にやってきて、東洋不動産は一件落着だと上機嫌だったという。
「何かね、今の広報部長のやり方に怒った前の広報部長の部下だった人が、親会社の企画広報室に直訴したんだって」
 広報部長の我孫子が前任の広報部長古橋の息がかかった社員を窓際に押しやって、代理店イーグルアイと裏で手を組んで我が物顔に仕切っているのに業を煮やした、古橋の元部下市東が親会社の企画広報室に直訴したことが発端で、今回の仕事がコンペになり、プラグインが請け負うことになったのだが、我孫子はイーグルアイにプラグインとは別にこの案件を進めさせ、プラグインの仕事にケチをつけて最終的に仕事をイーグルアイに納めさせるつもりだった。
「企画広報室は直訴されてから密かに我孫子やイーグルアイを調査していたらしくて、イーグルアイから我孫子にかなりな上納金が渡っていたらしいことがわかって、我孫子は左遷、イーグルアイは出禁になったって」

 


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